養蚕(ようさん)とは、蚕(かいこ)を飼育してその繭(まゆ)から絹糸(けんし)を生産する農業の一分野です。養蚕は古代から日本で行われており、絹織物の生産は奈良時代(710-794年)には既に盛んでした。
中国から伝わった技術を基に、日本独自の技術が発展しました。
特に平安時代(794-1185年)には貴族の間で絹織物が広く用いられ、その美しさと耐久性から、着物や帯などの高級衣料品の素材として重宝されました。その後も武士や商人などの階級にも広がっていきました。
絹は贈り物や貿易品としても重要で、日本の経済や文化に大きな影響を与えました。特に「錦糸」や「正絹」といった高級絹織物は日本の伝統技術の結晶です。
また皇室と養蚕には深い関係があります。特に、皇后陛下が養蚕を行う「御養蚕所(ごようさんじょ)」の存在は、日本の伝統文化や産業の象徴として重要です。